NISAで何を買うか、もう悩まなくていい。答えはすでに出ている。

NISA・投資

「NISAを始めたけど、結局何を買えばいいのかわからない」

そう感じている人は、あなただけではない。新NISAが始まって以来、証券口座の開設数は急増した。しかし口座を開いたものの、どのファンドを選べばいいか迷って、結局お金を眠らせたままにしている人が多い。

実は、その答えはすでに出ている。しかも、経済評論家と長年の実践投資家という二人のプロが、一冊の本に凝縮してくれている。

山崎元・水瀬ケンイチ著『全面改訂 第3版 ほったらかし投資術』(朝日新書、2022年)だ。


「迷い」こそが、最大の敵だった

投資の世界には情報が溢れている。「米国株一択」「オルカンが最強」「個別株で10倍を狙え」「今は現金が安全」……。どれを信じればいいのか、わからなくなるのは当然だ。

本書が指摘するのは、この「迷い」こそが投資の最大の敵だということだ。迷っている間は何も積み上がらない。迷った末に情報に踊らされて売買を繰り返せば、手数料と税金だけが積み上がる。

著者の山崎元氏は、三菱商事を皮切りに野村投信、メリルリンチ証券、パリバ証券など12回の転職を経た資産運用のプロ。水瀬ケンイチ氏は都内のIT企業に勤めながら、インデックス投資の実践を20年以上続けてきた個人投資家だ。この二人が長年の研究と実践から導き出した結論は、驚くほどシンプルだった。


結論は「たった1本」

本書の核心は一言で言える。

全世界株式に連動するインデックスファンドを、1本だけ買い続ける。それだけでいい。

「世界株」とは、日本を含む先進国・新興国の株式市場全体に分散投資するファンドのことだ。いわゆる「オルカン(全世界株)」と呼ばれるものがこれに当たる。

なぜ1本でいいのか。世界中の株式に分散されているため、特定の国や企業のリスクが自動的に薄まる。コストが低く、運用の手間がほぼゼロ。そして長期的に見れば、ほとんどのアクティブファンドの成績を上回ってきた実績がある。

本書ではさらに、ファンド選びの基準として「コスト(信託報酬)」と「純資産総額」の2点を挙げている。特にコストは、長期投資において複利で効いてくるため、0.1%の差が30年後には大きな金額の差になる。信託報酬が年率0.1%以下のものを選べば、まず間違いない。


「リスク資産」への投資額をどう決めるか

本書で最も実践的な部分の一つが、「いくら投資に回すか」の考え方だ。

著者たちは「許容できる損失額」を起点に考えることを勧めている。具体的には、「最悪のケースで、この金額が半分になっても生活に支障がないか?」を自問する方法だ。

たとえば、投資に回したお金が50%下落しても生活が崩れない金額。それがリスク資産(株式ファンド)に回せる上限だ。残りは預貯金や個人向け国債など安全な資産で持つ。

この考え方のポイントは、「増やすことより、失っても大丈夫な額を把握すること」だ。投資で失敗する多くのケースは、許容できる以上のリスクを取り、下落時に狼狽売りしてしまうことにある。自分のリスク許容度を正確に把握することが、長期投資を続けるための土台になる。


NISAとiDeCoをどう使うか

本書は新NISAにも完全対応しており、NISAとiDeCo(個人型確定拠出年金)の使い分けについても明確な指針を示している。

基本的な考え方は「有利なお金の置き場所を最大限に活用する」というものだ。NISAの成長投資枠とつみたて投資枠はともに非課税で運用できる。通常、投資の利益には約20%の税金がかかるが、NISA口座内であればこれがゼロになる。この恩恵は長期になるほど大きくなる。

iDeCoは掛け金が全額所得控除になるため、節税効果がある。ただし原則60歳まで引き出せないという制約がある。本書では、まずNISAを優先し、余裕があればiDeCoも活用することを勧めている。


「続ける」ことが最大の戦略

本書の第5章は「実践の勘所」として、投資と上手く付き合えない人のパターンを分析している。

最も多いパターンは「相場が気になりすぎて、頻繁に売買してしまう」タイプだ。株価が下がると不安になって売り、上がると乗り遅れまいと買う。これを繰り返すと、「安く売って高く買う」という最悪の結果になりがちだ。

だからこそ「ほったらかし」なのだ。月に一度、自動積立で買い続け、あとは見ない。価格が下がっても売らない。解約するのはお金が本当に必要になったときだけ。この単純なルールを守ることが、長期投資の成功の鍵だと著者たちは繰り返し強調する。

コロナショックのような急落局面でも、データを見れば市場は数年以内に回復してきた。問題は市場ではなく、人間の感情だ。「ほったらかし」とは、感情から投資判断を切り離すための設計なのだ。


投資は「人生を楽しむため」にある

本書が他の投資本と一線を画すのは、お金の目的を「人生をより豊かに生きること」に置いている点だ。

山崎氏はこう語る。「投資は手段であって目的ではない。お金を増やすことに躍起になって人生の楽しみを削るのは本末転倒だ」と。若いうちにしかできない経験、旅行、趣味、学び——これらへの支出は、将来に資産を残すよりも価値があることがある。

ほったらかし投資はシンプルだからこそ、人生の本当に大切なことに時間と精力を使える。それが著者たちが伝えたい、最も根本的なメッセージだと感じる。


まとめ:NISAの答えはシンプルだ

✅ 全世界株式インデックスファンドを1本選ぶ

✅ 信託報酬が低いものを選ぶ(年率0.1%以下が目安)

✅ NISA口座で毎月自動積立する

✅ 相場を気にせず、ほったらかす

✅ お金が必要なときだけ売る

NISAで何を買うべきか迷っている人には、まずこの一冊を手に取ることを強くお勧めする。難しい金融用語に振り回されることなく、投資の本質がスッキリと理解できるはずだ。


<本書情報・出典>
書名:全面改訂 第3版 ほったらかし投資術
著者:山崎元・水瀬ケンイチ
出版社:朝日新聞出版(朝日新書857)
発売日:2022年3月11日
定価:869円(税込)
ISBN:9784022951670

※ 本記事は書籍の内容をもとに筆者が解説したものであり、特定の金融商品への投資を推奨するものではありません。投資には元本割れのリスクがあります。投資判断はご自身の責任においてお行いください。

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