「オルカンとS&P500を両方買えば、より分散できる」と思っていませんか?実は逆効果になっている可能性があります。
本記事では、いわゆる「ダブル持ち」が分散投資としてどう機能するのか、指数の中身を見ながら整理します。
オルカンはそもそも何に投資しているのか
オルカン(全世界株式インデックスファンド)は、その名のとおり「世界中の株式」に分散投資するファンドです。日本・米国・欧州・新興国など約50カ国・数千銘柄をカバーしており、一本持つだけで地球規模の分散が完成する、シンプルな仕組みの金融商品です。
ただし、ここで注目すべき点があります。オルカンの中身を見ると、約60〜65%がすでに米国株で構成されています。これは「時価総額加重方式」を採用しているためです。世界最大の株式市場である米国の時価総額が大きいため、自動的に組入比率も高くなっているのです。
| 地域 | 構成比(概算) |
|---|---|
| 米国 | 約62% |
| 欧州・その他先進国 | 約22% |
| 新興国 | 約10% |
| 日本 | 約6% |
つまり、オルカンを1本持っているだけで、すでに「米国に厚めに賭けたポートフォリオ」になっているのです。
オルカン+S&P500で実際の米国比率はどうなるか
ここで問題が生じます。S&P500は米国を代表する500社だけで構成されているため、米国株への集中度は100%です。オルカンとS&P500を「半々」で保有した場合、ポートフォリオ全体の米国比率は計算上どうなるでしょうか。
オルカン50%(うち米国分62%) + S&P500 50%(米国100%)
= 米国比率 約81%
「世界分散のため」と思って2本持っても、実態は資産の8割超が米国株に集中している状態です。これは分散というより、意図せず米国への集中投資になっているとも言えます。
さらに比率を変えて計算してみると、米国の比率の高さがよくわかります。
| オルカン:S&P500の比率 | 合計の米国比率 |
|---|---|
| 100:0 | 約62% |
| 70:30 | 約73% |
| 50:50 | 約81% |
| 30:70 | 約89% |
| 0:100 | 100% |
「重複保有」が問題な理由
分散投資の本来の目的は、「ある資産が下がっても、別の資産で補える」状態を作ることです。これを「相関の低い資産を組み合わせる」と表現します。
しかし、オルカンとS&P500は中身の大部分が重複しています。米国市場が大きく下落した場合、両方のファンドが同時に大きなダメージを受けることになります。
2本持っているという安心感は「気分の分散」であり、リスクの分散にはなっていません。コストを二重に払いながら、得られるリターン特性はS&P500単体に近づいてしまう、という結果になりがちです。
本当の意味での分散とは何か
真の分散投資を考えるなら、以下のような視点が参考になります。
- 地域の分散:米国・欧州・新興国・日本など、異なる地域に資金を配分する
- 資産クラスの分散:株式だけでなく、債券・REIT・コモディティなどを組み合わせる
- 通貨の分散:円・ドル・ユーロなど、異なる通貨を保有する
- 時間の分散:一括ではなく、時期をずらして買い付ける(=ドルコスト平均法)
「同じ資産クラス・同じ地域中心の指数を2本持つ」ことは、これらの分散とは性質が違うことに注意が必要です。
では、どう考えればよいか
ダブル持ちが「悪い」というよりも、自分が「何のためにそれを持っているのか」を明確にすることが大切です。
パターン①:真の世界分散を目指したい場合
オルカン1本に絞ることで、余分なコストをかけず、世界全体への分散が自動的に実現します。シンプルさを重視する考え方です。
パターン②:米国への集中投資を意識的に選ぶ場合
S&P500 1本でも構いません。ただし、それは「米国経済の成長に大きく賭ける」というリスクテイクの意思決定であることを自覚した上での選択になります。
パターン③:あえてダブル持ちする場合
「米国への比重をオルカン単体より少し高めたいけど、新興国・欧州への分散も残したい」という意図的な選択であれば、合理性はあります。ただし、その場合も全体の米国比率を計算で把握しておくべきです。
まとめ
- オルカンはすでに約60〜65%が米国株で構成されている
- S&P500を加えると、米国比率がさらに高まり実質的に集中投資になる
- 2本持ちは「気分の分散」になりやすく、リスク分散としては機能しにくい
- 本当の分散は、地域・資産クラス・通貨・時間など多面的な視点が必要
- ダブル持ちが悪いのではなく、「目的を明確にした上で選ぶ」ことが大切
自分のポートフォリオが、実際にどこに、どれだけ投資されているのかを正確に把握すること——それが、納得感のある資産形成の出発点になります。
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品への投資を勧めるものではありません。投資にはリスクが伴います。投資判断はご自身の責任において、必要に応じて金融商品取引業者(登録業者)にご相談の上、行ってください。


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